ストレスと腰痛そして胸痛

ギックリ腰で悩む方はまだまだ多いようです。これに関してはもう二十年以上も前に一つの答えが出ていました。

腰痛に悩む方は、黙ってこの本を読んで欲しい、それだけです。

その本こそ「腰痛は怒りである〜痛みと心の不思議な関係」長谷川淳史著・春秋社です。

2000年に出版されベストセラーとなってはいますが、まだまだご存知でない医師も医療関係者も多数おられるようです。とても残念です。整形外科医学会の認識がまだまだ古臭いのでしょう。または、この説を認めたくない(患者が減る)のでしょうか?

多くの腰痛は働き盛りの30台から50台の男性に見られます。責任世代と言われる重責を担うことの多い世代です。重圧や責任感、打ち明けられない悩みそんな物を抱えた世代に多発しているのです。

整形外科医の多くは知らない

通常、整形外科医は、来院した腰痛患者に対して、X線撮影、MRI撮影などの検査を行い、背骨の異常を見つけようとしてきました。

しかし腰痛が多発する若年から中年世代に脊椎の異常はあまりありません。圧迫骨折や骨の変形などはもっと高齢の70台や80代の世代にみられることです。腰痛と言えば腰椎という短絡的発想を考え直す時です。

TMSとは

冒頭の本では、腰痛の大部分は筋肉への血流低下が原因であろう、その原因は自律神経にあるだろうと述べています。すでに米国のジョン・サーノ博士が緊張性筋炎症候群(Tension Myositis Syndrome:TMS)という理論を一九八四年に発表しています。著者の長谷川氏は旭川市で治療院の院長をするかたわら、サーノ博士の理論を自ら実践され、その結果をわかりやすく解説してくれました。

比較的若い世代には骨に異常が見つかることは少ないはずなのになぜか激しい腰痛の症状を訴える、それはなぜか。はっきりしていることは、骨(腰椎など)には無関係であろうということです。骨病変ではないのです。X線などは不要なのです(他の病気を否定するためにのみ必要)。

原因

では腰痛はなぜ起こるのでしょう。それは自律神経のアンバランスが、筋肉の血流障害を引き起こすから、それが答えです。目に見えない筋肉痛なのです。

使い古された言葉ではありますが、多くの腰痛はストレスからくるのです。ただし、本当に骨に病変がある患者さんも少数います。ガンの転移であったり、骨粗鬆症であったり、生まれつきの変形であったり、交通事故などの重い外傷などは別の治療が必要でしょう。これらの病気を除外するためには最低限の検査を否定するものではありません。しかしそれが否定されたら一番に考えることが、このTMS症候群です。

ストレスとは何か、また同じストレスでも症状が出る人と出ない人があるのはなぜか。そう、どうやら性格も関連するようなのです。

サーノ博士は完璧主義、善良主義という言葉が当てはまりそうな方々、もしそれに該当すれば要注意と述べています。つまり、いつも高い理想をもち、自己批判的で、しかも他人の評価にも過敏な方。また認められたい、好かれたい、尊敬されたいという要求が強く、いつもいい人を演じてしまうタイプ。

ご本人の能力を超えて、ある理想像を追求すれば、当然目標には至らないわけですが、それでも現実とのギャップにいつも悩むタイプ。もちろんこれは女性にもあることです。

古くはハンス・セリエがストレス学説を打ち出して以来、たくさんの疾患がストレスに関連があることはわかっています。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍がストレス性潰瘍と呼び称され、多くの国民に知れ渡って既に四〇年も経過しています。ガスターなどの制酸剤が開発されたことも相まって胃潰瘍などは激減しました。

こうしてストレスのやり場が胃潰瘍から他の疾患に変わっていったのです。それが腰痛なのです。腰痛ストレス説はかなり広まってきたと思っていたのですが、まだまだ整形外科では認めていない医師が多く困っています。

しかしストレスは他にも疾患を広げています。一つはガンです。ストレスが血流悪化や免疫機能低下をもたらしてガンを生み出すという考えは当然納得できることで、ガンストレス説もかなり浸透してきていると考えます。

もう一つ深刻な事態が起きています。ストレスが心疾患を招くということです。正確にはストレスが胸痛と関連があると言うことです。そして注意して頂きたいのは、全ての胸痛が動脈の狭窄、アテローム硬化とは限らないということなのです。器質的な動脈疾患がなくても胸痛は起こり得るのです。

最近増加している心疾患は、実はストレス性の胸痛も多数含まれています。しかしウブな心臓外科医たちはそれを知りませんから、血管造影を繰り返し、動脈の微細な欠陥を血眼になって見つけ出し、必死になって治療しようとしているのです。この現象はもうしばらく続くことでしょう。

身体はいつもアラームを出しています。自我に対してアラームを発しているのです。もうやめてくれ、もう休んでくれ、もうこれ以上自我のために身体酷使することをやめてくれ。これが病というものです。ですから症状が器質的なものでなくても痛みを起こすことは簡単です。見えない感情、見えない神経刺激、見えない疼痛などが連鎖していくのでしょう。

もうお分かりでしょう。今の医学は虹を追いかけています。器質的なもの目に見えるものでないと納得しません。しかしそれには限界があるのです。虹をつかむことはできないのです。

現代医学の最前線は免疫です。ウイルス感染が克服できないのも免疫が解明していないからですが、免疫ほどストレスが大きく関与するものはありません。過敏になった免疫はアレルギーとなり、時に重症にもなっています。コロナウイルスの重篤な症状は過剰免疫そのものです。

あら手の免疫物質を次々と見つけ出し、名前をつけて学会で発表、こうして医学が進歩すると思ったら大間違いなのです。足もとをすくわれる事態が起きるでしょう。物質還元主義ではもう医療はできません。

参考「腰痛は怒りである〜痛みと心の不思議な関係」長谷川淳史著・春秋社

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