これからは運動薬

 

現代人が運動不足であることは誰にも自明のことで、これだけ自家用車やバス・電車が発達すれば、歩く距離は確実に減少していき、さらに宅配システムのおかげで持物も持たなくなりました。さらに多忙な現代人は、散歩や運動にかける時間も充分にありません。

言わずもがな運動不足は生活習慣病の主因の一つであり、なんとかして解消していかなければならないことです。そこで今回は少ない時間で最も効率良くできる運動、それを是非お伝えしたいと思います。

 

脊椎・骨盤の運動が重要

 

脊椎動物の原点である魚類は、泳ぐ時に背骨を左右に揺らして進みます。トカゲやヘビも同様(蛇行運動)です。脊椎を常に動かしているのです。哺乳類になると馬や猫の走り方を見てわかるように、背骨の縦の波動運動です。いわば縦の蛇行運動が走っている時の姿です。脊椎動物の歴史は長いですが、どの脊椎動物も背骨を縦横に運動させていることは確かです。

 

毎日の運動=スワイショウ

 

スワイショウという名は、近年日本でも広く知られるようになりました。喜ばしいことです。その原点は文献によると達磨さんにまで遡るようです。達磨易筋経と言う古い文献にも、腕振りと言うこのスワイショウが紹介されています。その効果を百病皆治というのはともかく、ある種の慢性病に顕著な効果が認められているそうです。納得できる話です。

スワイショウには二種類あって、両腕を前後に動かす腕振り式と、腰をひねる方法とがあります。そのどちらも素晴らしい運動です。スワイショウとは中国語ですが、放り投げると言う意味だそうです。

 

1.前後の手振りスワイショウ 足は肩幅に開きしっかり大地を踏みしめます。そして両腕を一緒に前後に振るだけです。後ろに腕を振る時に意識して早く大きく動かし、前に振る時はむしろ惰性で動かします。そして後ろに振る時に息を吐くとさらに効果が上がります。腕にあ合わせて膝を小さく屈伸するとさらに良いです。

 

2.腰をひねるスワイショウ

やはり足は肩幅に開き、しっかりと大地に立脚、下半身を安定させます。上半身3、下半身7という力配分を意識します。これを上虚下実と言います。背骨はまっすぐに保ったままゆっくりと腰を回転させます。その時両腕は脱力し、ぶらぶらの腕がちょうどデンデン太鼓のように体幹に絡みつく感じです。デンデン太鼓体操と呼ばれることもあるそうです。

足が大地を踏みしめ、その時膝を軽く曲げると下半身が安定します。口をやや開けて目は数メートル前方を見下げます。首は無理に回さず、腰の回転についていくだけでいいです。

 

合計20分

最初の4分は軽く、次の4分はやや回転を大きくし、次の4分では膝を上下させます。これが一番運動量の大きい動作です。次の4分は最初のように軽い回転に戻し、最後の4分はしっかり回します。これで合計4分を5回繰り返したことになります。芯から体温が上がってきてしっとりと汗をかきます。

有名な西野流呼吸法でも「華輪」と言う基本行法があります。やはり手を左右に捻るように振るデンデン太鼓と同じ体操です。そこには全身の血行を良くし、冷え性、腰痛、便秘に効果があると書いてあります。

 

西野流呼吸法の提唱者、西野皓三氏はこの「華輪」を延々と長時間やることで、気の奥義に達したとも言われています。

 

骨盤というのは、中央の仙骨と寛骨とで形成されています。仙骨は脊椎骨の一部であり、脊髄神経が通っています。仙骨のことを英語では「SACRUM」と言い、神聖なる骨という意味になります。それだけ重要な骨であることを示しています。この回転スワイショウは、脊椎の中にある中枢神経脊髄を動かすことによって、脳脊髄液の循環にも寄与します。また自律神経の一部である副交感神経は、この仙髄から出ていますし、交感神経は頸髄、胸髄、腰髄から伸びています。

 

本当に不思議なことに、この回転スワイショウを20分間しっかりと継続すると、素晴らしい効果が出てきます。まず1日の始まりに必要なやる気やプラス思考、さらに素晴らしい思いつきまで起こってきます。精神面での発展的思考を助けてくれる効果があるのです。また規則的で律動的な運動なので、気功瞑想状態、禅の境地(入静)にもなるわけです。これを「動禅」と呼ぶ人もあります。仙骨を中心とした筋骨を柔軟に動かすことは、それこそ神聖なる発想や行動につながるのでしょう。

 

もちろん骨盤内臓を揺り動かしているので、消化管はもちろん、泌尿生殖器系、婦人科系の臓器の血流も改善します。ですから南米コロンビアで健康指導をしている井上真(アトム)先生は、この回転スワイショウをまず指導しています。どんな難病も治してしまう先生ですが、但しこのスワイショウを20分間継続し、それを1日に3回行う事を必ず義務付けています。

ポイントは、下半身をしっかり安定させるため、丹田に重心を置く事を心がけます。丹田に力を込めるには、ヘソの下の腹直筋を緊張させることです。二十分間の運動によって、膝、腰の下半身がしっかりと鍛えられるわけです。すぐに実行してください。継続してください。

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